魅世の作品 凍るとき

凍るとき

 

 

どこまでも続くような広い野原。真っ白な雪に覆われた地面。

 

きりりと引き締まるような寒さを頬に感じる。

 

私は目を瞑り、その場に仰向けに倒れた。

 

凍る、という二文字が、目の奥に浮かんでくる。

 

孤独は怖い。誰も自分を理解してくれないのは恐ろしい。

 

心がばらばらに砕け散ってしまいそうなほど。

 

そのたびに、心を凍らせてきた。

 

誰も割ることができないほど硬く、そして、冷たく。

 

私がここまでしているのに、誰も助けてくれない。

 

そう、みんな、自分のことで精一杯なんだ。

 

体中が雪に埋もれていく。手足の先がしびれてくる。

 

灰色の空に向かって息を吐いてみる。

 

空が白くなり、すぐに元に戻った。

 

私は、ここにいる。確かに、ここにいる。

 

そう、この息は、私の息。

 

私の存在を示す息。

 

“ここにいるよ”

 

私の声が、雪の中に吸い込まれてゆく。

 

“わたしは、ここにいるよ”

 

体の震えを押さえ、私は何度も、声を発する。

 

“ここに、いるから”

 

体が冷えていくのとは逆に、心はあったかくなってくる。

 

涙が、頬を伝って地面に落ちた。

 

ぽたりぽたりと、涙が落ちる。

 

凍ったものは、時が経てば、必ず解ける。

 

必ず、解ける。